Journal of Clinical Medicine誌に当社培養上清を使用した臨床研究に関する論文が掲載されました

当社の技術で製造したヒト脂肪組織由来、及びヒト臍帯組織由来間葉系間質細胞(幹細胞*)培養上清(以下、「培養上清」といいます)の全身投与が慢性倦怠感をもつ患者様の症状を緩和する可能性があることが報告されました。

慢性倦怠感は新型コロナウイルス感染後遺症などで見られ日常生活に大きな支障をきたしますが、その原因は全く不明であり、有効な治療法が確立していない疾患です。
この度、医療法人社団敬生会・西北クリニックにて行われた、当社の細胞培養技術で調製された培養上清を用いた観察研究に関して慢性倦怠感を有する患者様への投与結果について、査読付科学誌Journal of Clinical Medicine誌にて掲載されました。培養上清は、間葉系幹細胞(間葉系間質細胞)と同様に、様々な難治性疾患に対する有効性が期待されて研究が進んでいます。今回の観察研究において、18名の慢性倦怠感を有する患者様に対し培養上清を静脈を介して一ヶ月間隔で3回の全身投与が行われました。
さらに1名の慢性倦怠感の患者様は吸入による投与が一週間の間隔で合計12回行われました。いずれの投与方法においても、投与された患者様に重篤な有害事象は観察されませんでした。
さらに、投与の結果、19名中10名の約半数の患者様で慢性倦怠感の自覚症状の改善が見られました。炎症性マーカーであるCRP(C Reactive Protein)の血清中の値を投与前後で比較したところ、CRPが基準値より高い患者様では培養上清投与によってその値が下がることが見られました。
培養上清のもつ炎症を抑える作用によって慢性倦怠感を改善する可能性が示唆されました。

今回の論文は培養上清の全身投与による慢性倦怠感に対する治療の可能性を報告した世界で初めてのものであり、培養上清による新たな治療法の開発が今後期待されます。

*日本再生医療学会による2025年6月6日付の声明に従い、従来の呼称である間葉系幹細胞に替え間葉系間質細胞と表現し、カッコ内に旧呼称の間葉系幹細胞と記述しました。https://www.jsrm.jp/news/news-16348