PLoS One誌にて、当社培養上清を使用した臨床研究に関する論文が掲載されました
当社の技術で製造したヒト脂肪組織由来、及びヒト臍帯組織由来間葉系間質/幹細胞培養上清の全身投与が、安全かつ抗炎症効果をもたらす可能性があることが報告されました。
炎症、特に慢性炎症は様々な疾患と密接に関係し、さらに発がんや老化にも寄与しうる非常に重要な現象・状態です。
この度、医療法人社団敬生会・西北クリニックにて行われた、当社の細胞培養技術で調製されたヒト脂肪組織由来、及びヒト臍帯組織由来間葉系間質/幹細胞培養上清(以下、「培養上清」といいます)を用いた4つの観察研究(心不全・肺疾患・倦怠感・慢性腎不全)に関して、特に安全性に関する結果について、査読付科学誌PLos ONE誌にて掲載されました。培養上清は、間葉系幹細胞(間葉系間質細胞)と同様に、様々な難治性疾患に対する有効性が期待され、多くの研究論文が報告されています。今回の4つの観察研究において、54名の患者様に対し培養上清を静脈、あるいは動脈(カテーテルを用いて患部付近から直接投与)を介して一か月間隔で3回(合計162回)の全身投与が行われました。さらに一名の慢性倦怠感の患者様には吸入による投与が一週間の間隔で12回行われました。いずれの投与方法・疾患においても、投与された患者様に重篤な有害事象は観察されませんでした。また比較的軽微な(Grade1又は2)有害事象が4件観察されましたが、培養上清投与との因果関係は不明でした。
さらに、患者様の培養上清投与前後における血清中のCRP(C Reactive Protein; 炎症が起きると血液に放出される)を調べたところ、投与前から炎症を起こしていると考えられる患者様(CRP > 0.3 mg/dL)において、投与後には統計学的に有意な差をもってCRPの値が減少していることが観察されました(p = 0.012; two-tailed Wilcoxon matched-pairs signed-rank test)。この結果から、炎症を起こしている患者様において、培養上清の投与によってその炎症が抑えられたという可能性が強く示唆されたと考えられます。
今回の結果は、AOF技術を用いて製造された培養上清のヒトにおける全身投与の安全性及び抗炎症効果の可能性が一定の確かさをもって示された、という臨床報告となります。