現在当社では、希少疾病である
「乳がんに伴うがん性皮膚潰瘍」、
そして患者数が極めて多く、
未だに致死率が高い疾患である
「敗血症」に有効な治療方法の研究開発に
取り組んでいます。

CASE : 1 乳がんに伴う
がん性皮膚潰瘍

CASE : 1 乳がんに伴うがん性皮膚潰瘍

対象疾患について

がん性皮膚潰瘍は、乳がん患者の4%程度に発症する(2005年日本乳癌学会)とされており、我が国の年間乳がん罹患者数が10万人弱(全国がん登録データ2019年)とされている事から、概ね4,000人程度の患者が毎年発生していると推定されています。この疾患は、患部の痛みや出血による身体的苦痛に加え、強い悪臭と乳房の形状変化から患者様に大きな精神的苦痛を与えます。

乳がんに伴う がん性皮膚潰瘍

がん性皮膚潰瘍の発生数

年間4,000

開発詳細について

当社の最大の強みは、間葉系幹細胞(MSC)の治療特性を培養条件によって操作する技術を有する事です。従来、MSCは、免疫抑制作用や血管新生作用により、がんを悪化させると考えられてきました。ところが、当社では培養条件を工夫する事によって、MSCが乳がん細胞の増殖を抑制する事をin vitroの実験系並びに担がんモデルマウスの実験系で再現性良く確認する事ができました。

さらに、当社MSCは、ブレオマイシンの投与により誘発したマウスの皮膚潰瘍モデルにおいて難治性皮膚潰瘍の治癒を明らかに促進するという研究データも出ています。乳がんの患者さんに発生するがん性皮膚潰瘍に新たな治療法をお届けするべく、当社MSCの希少疾病用医薬品としての開発を目指します。

前臨床研究-1.

トリプルネガティブヒト乳がん由来細胞MDA-MB-231の細胞死がAD-MSCとの共培養によって統計学的有意に誘導される

前臨床研究-2.

臍帯由来及び脂肪組織由来間葉系幹細胞のNOD/SCIDマウスに移植したヒト乳癌細胞(MCF7)対する増殖抑制効果と培養条件の比較

NOD/SCIDマウスを用いた担がんモデル実験において、AD-MSCはヒト乳がん由来細胞MCF-7の増殖を統計学的有意に抑制する

前臨床研究-3.

ブレオマイシン誘発マウス皮膚潰瘍モデルにおいて、AD-MSCは皮膚潰瘍の創傷治癒を促進する(10日目)

CASE : 2 敗血症

CASE : 2 敗血症

対象疾患について

敗血症は、全世界で年間約5,000万人が罹患し、全世界の死亡原因の20%を占めるとされている非常に死亡率の高い疾患です。主な成因は、細菌やウイルスなどの感染による病原体関連分子パターン(PAMPs)ないし、受傷や熱傷による損傷部位から放出される傷害関連分子パターン(DAMPs)により誘導された大量の炎症性サイトカインによる全身性炎症反応症候群(SIRS)と言われています。

敗血症

全世界の死亡原因の

20%

開発詳細について

MSCには、異常亢進した免疫系を調節する作用が知られており、近年では、コロナウイルス感染によって引き起こされるサイトカインストームへの効果を検討する基礎・臨床試験も進んでいます。敗血症をMSCで治療するための基礎研究は、これまでにも世界中で多数実施されています。このうち、29件の論文で使われた1,266頭の実験動物に対するMSCの効果をメタ解析した論文ではMSCは敗血症による死亡率を統計学的に有意(P<0.001)に減少させることが報告されています(Sun et al. Stem Cell Research & Therapy 2020; 11:214-223)。

当社と千葉大学との共同研究においても、当社MSCは盲腸結紮穿刺で誘導した敗血症モデルマウスの実験にて死亡率を有意に軽減するというデータが出ています。当社MSCの非臨床安全性試験データは既に得られており、薬効を証明するための薬力学的研究データも揃いましたことから、今後は敗血症患者を対象とした臨床試験の実施に向けて進めてまいります。

T細胞増殖抑制データ

末梢血単核細胞(PBMC)にPHA-P処理をすることでCD3陽性のT細胞の増殖が促進される(EdU陽性)。当社AOF培地で培養したAD-MSCは、血清培地で培養したMSCと比較して、より効率よくT細胞の増殖を抑制することが観察された。

サイトカイン産生の抑制

LPS刺激したRaw264.7細胞(マウス由来マクロファージ)にMSC由来培養上清(AD-CM or UC-CM)を添加すると、炎症性サイトカインの発現が抑制され、抗炎症サイトカインの発現が促進されることを観察した。

乳がんに伴うがん性皮膚潰瘍は、患者数が少なく他に有効な治療が存在しない事から、希少疾病用医薬品としての開発を実施し、
速やかに患者さんに新しい治療をお届けする事を目指します。
一方、敗血症に関しましては、多くの患者さんの治療にお役に立てるよう臨床開発を進め、敗血症治療における新たな治療選択枝を提供する事を目指してまいります。

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