ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞に粘膜免疫機能と胸腺の再生の可能性

Kazuyoshi Aso 1, Koh Kimura 2, Kentaro Takagaki 3, Taira Kobayashi 2, Katsuyuki Oki 3, Shinya Sugimoto 3, HIdeki Tanemura 3, Naoki Urushihata 3, Jerry R. McGhee 1 and Kohtaro Fujihashi 1
1 The University of Alabama at Birmingham, 2 USA Nihon Uiversity School of Dentistry at Matsudo, Japan 3 seems Inc, Japan

 

Abstract

脂肪由来幹細胞は赤血球、上皮細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、および骨芽細胞に分化可能で、その再生能力は数々の臨床実験で示されている。老化による腸管粘膜免疫システムの破綻も周知の事実であり、抗原特異的分泌型IgA(SIgA)抗体の低下が老齢マウスにおいて報告されている。そこで本研究では、脂肪由来幹間葉系細胞(AMSCs)による老齢マウスの粘膜免疫機能の回復の可能性について検討した。1年齢のマウスにAMSCs (2 x 106/マウス)を移入し、8ヶ月後に卵白アルブミン(OVA, 1 mg)と粘膜アジュバントであるコレラ毒素(CT 10 µg)の混合液によって経口免疫を行った。OVA特異ELISAにより、糞便抽出液中の粘膜SIgAと血清中のIgG抗体の上昇がAMSCs移入マウスにおいて確認された。OVA刺激後のCD4 T 細胞によるサイトカインの産生を調べたところ、IL-4の上昇がパイエル板由来のCD4 T 細胞で認められた。また、腸管粘膜固有層においてはCD4 T 細胞によるIFN-gとIL-4の産生が上昇していた。一方、AMSCsを移入していないマウスではこのような抗原特異抗体やサイトサイン産生の上昇は認められなかった。興味あることに、胸腺における全細胞数とダブルネガティブ細胞の 割合がAMSCs移入マウスにおいて増加していた。これらの結果は、老齢マウスにおける低下した粘膜免疫機能と胸腺の再生におけるAMSCsの主たる役割を示している。

 

論文