幹細胞療法によるアルツハイマー病治療の可能性

Takeshi katsuda1 , 2 , Reiko Tsuchiya 3 , Fumitaka Takeshita 1 , Yasuyuki Sakai 2 and Takahiro Ochiya1
1. Division of Molecular and Cellular Medicine, National Cancer Center Research Institute, Tokyo, Japan
2. Institute of industrial Science, University of Tokyo, Tokyo, Japan
3. Research and Development Dept., seems Inc., Tokyo, Japan

 

Abstract

アルツハイマー病(AD)の病理学的な定義は、アミロイドβペプチド(Aβ)の脳内蓄積である。脳内におけるアミロイドβの濃度を決定する3 つの要因は、(i)アミロイドβ前駆タンパク質APPからのアミロイドβ産生速度(ii)血液脳関門を超えるアミロイドβの輸送速度、そして(iii)脳実質でのアミロイドβ分解の速度である。ネプリライシン(CD10)は脳にあるアミロイドβ分解酵素であり、それゆえにアルツハイマー病治療の標的となりうるものである。最近我々はDNAマイクロアレイ分析によってヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(hAT-MSC)がネプリライシン遺伝子を発現することを発見した。本研究において我々は、hAT-MSCの治療上の可能性について結果を報告する。

 Methods

我々は3 名の提供者(hAT-MSC#1,#3 と#4)から得たhAT-MSC を使用した。我々はこれらの細胞でのネプリライシンの発現について、mRNA とタンパク質の量をそれぞれ定量的RT-PCR法(qRT-PCR)とウェスタンブロット法により測定することで解析した。細胞抽出液中のネプリライシン酵素活性についても、蛍光ペプチド基質を用いて調査した。

Results

qRT-PCR の結果、ネプリライシンの発現レベルは提供者間で2.5倍異なっていた。なお、hAT-MSCsでのネプリライシン発現レベルは骨髄由来MSC発現レベルよりも高かった。また、ウェスタンブロット法によりタンパク質レベルでネプリライシン発現を検出し、さらにhAT-MSC が十分なネプリライシン酵素活性を持っていることを確認した。

Conclusion

今回の我々の結果は、hAT-MSCが脳内に蓄積したアミロイドβのクリアランスに寄与する能力を持っていることを示唆した。このことはhAT-MSCがアルツハイマー病に対する新しい治療方法を提供すると思われる。適応部位へのhAT-MSCのホーミング能力を考慮すれば、アルツハイマー病に対するhAT-MSCの移植は、脳内アミロイドβ沈着の蓄積を抑制することが期待される。

論文

 

疾病ごとの研究

アルツハイマー病