品質規格マーカーの開発

従来の低分子医薬とは異なり、製造バッチごとに異なる組織提供者(ドナー)に由来する細胞を用いる細胞医療においては、製剤の規格化が困難であることが認識されています。ある特定の分子量で、ある特定の構造式を有して、沸点は何℃で・・などという物理化学的な手段でその主製剤の特定ができないことが、製剤の規格化を考える上で、細胞と低分子薬で最も大きな相違点です。また、生物医薬品である抗体医薬については、特定のその製造工程の変更により、予期しない製剤特性への影響が現れる可能性が高く(糖鎖付加パターンなど)、そのために、製造工程も抗体医薬の製剤の規格の一部とみなされています。細胞医薬は、ドナーに由来する違い、製造工程の影響を受けるとともに、さらに複雑系である細胞自体が主製剤であるため、規格化が極めて重要になります。
当社では、間葉系幹細胞を均質なグレードで製造するための指標となる、マーカーの開発を行っています。細胞の遺伝子発現がバッチ毎で全く同じである必要はないですが、臨床効果に直結する遺伝子発現については管理が必要です。間葉系幹細胞の定義の1つとしてCDマーカーが利用されますが、それらと組み合わせて、機能性マーカーを製造工程や出荷試験の規格に導入することで、複雑系である細胞の機能性の規格化を目指します。ターゲット分子としては、ES細胞、iPS細胞で先行しているところの細胞表層の糖鎖解析をはじめ、膜タンパク質、分泌性因子、遺伝子発現パターンに着目した研究を行っています。